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健康情報広場

2011-03-14
学校医から見た新型インフルエンザの流行
宮司外科胃腸科 院長 宮司 勝 (栃木県鹿沼市)
 開業医の第一の使命は地域医療に貢献することであるが、その中には学校医としての役割も含まれる。2009年春より境的に大流行し、日本でも2000万人以上が罹患したと推定される新型インフルエンザ(A/H1N1)が、栃木県の一地方都市の中学校(全校生徒490人)でどのように流行し、学校はいかにその対策をとったか等を検証する。
 本校では2009年(平成21年)10月5日に第一号の生徒患者が発生し、以後急速に患者は増加した。10月14日に1年生全クラスと3年生3クラスを学級閉鎖した。全校あげて感染防止に努めたが感染は拡大し、全生徒の42.9%が罹患し、特に2年生のあるクラスでは69.7%の生徒が罹患した。
12月に入り感染者は減少傾向をみせたが、全校15クラス中、学級閉鎖を受けなかったのは1クラスのみであった。
 教室内の座席配置表に生徒患者の発症日を記入する方法で、インフルエンザが教室内でどのように蔓延していったかを調べてみた。一定の法則なく発症者がバラバラと続いたクラスが多くみられた一方で、1人あるいは複数の発症者を中心に同心円状に拡大していったクラスや、ほぼ縦横一列に次々と発症者を出したクラス、窓側の座席の生徒に発症者が集中したクラス等も認められた。
 部活動別に発症者を調査したが、突出して多くの患者を出したクラブはなかった。
教師にも3名の発症者があった。
 生徒にはマスクの着用、うがい・手洗いの励行、体温測定、クラブ活動の休止等を指導し、家族にインフルエンザ患者が出た場合には出校停止とする等の措置をとったが、感染拡大を防止するには至らなかった。
 学級閉鎖については、閉鎖後一定期間、発症者を見なかったクラスもあったが、一方では患者が減少せず、閉鎖をさらに延長したクラスもあり、インフルエンザの潜伏期間等も勘案して、閉鎖のタイミングとその期間設定を行うよう、さらに検討を要するものと思われる。感染防止に重要な役割を果たすワクチンの接種が、流行期を過ぎてから、しかも集団接種ではなく個人接種として行われたことは、反省の材料となるであろう。
 昨シーズンのインフルエンザは比較的弱毒性であったこと、抗インフルエンザ薬が有効であったことなどは不幸中の幸いであったが、将来に予想される強毒性インフルエンザに備えて、流行の状況を十分に分析しておくことは重要なことと思われる。


医療法人杏和会 宮司外科胃腸科院長 宮司(ぐうじ) 勝先生のご紹介
 
宮司勝先生は、鹿沼市の中核総合病院である上都賀総合病院の副院長を経て、医院を開業されました。
開業から20年、地域に密着した医療に尽力、患者さんの通算登録番号は59,000番を超えており、実に鹿沼市の人口およそ10万人の50%以上を診察されたことになります。
その温和でやさしい人柄とドクターとしての絶対的な信頼から、地域の方々に慕われてきました。患者さんからは、『宮司先生』より、『宮司さん』と呼ばれることも多く、地域に密着し、親しみと信頼・尊敬を寄せられていることが伝わってきます。総合病院の専門医から開業し、地域の一次医療を担うその姿勢は、医療の在り方の原点そのものと言えます。
 
診療科目   内科 胃腸科 外科 肛門科 皮膚科 呼吸器科
外来受付時間 9:00-11:45,14:00-17:30(月~土) 木曜午後・日・祝日は休み
(文責:吉田)
 
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