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健康百話

2011-07-12
長廻雑記帖(21)三江線と伯備線
長廻 紘
 「こんなに乗客が少ないと、この路線も遠からず廃止されるだろうね」「われわれ職員もそう覚悟しています」。がらんとした車内は青春18切符の客とおぼしき若者と3人のおばあさんのみ。母が亡くなって、故郷へはもう還ることもあるまいと思い、初めて利用した島根県西部の三江線(三次―江津)の車内(10年9月)。この鉄路は途中に未開通部分が地元の熱望でつながった、という子供の頃の記憶がありなんとなく気になっていた。山間部をぬって走っているうえ駅が多い。やたら時間がかかる。無くなる前に乗っておかなくては。
 運転手さんも気楽に話に乗ってくれ、「いつもこんなものですよ。それが魅力で乗ってくる人ばかりです」と。途中の中心地・川本で2時間停車なので降りて昼食を摂ったり町中散歩。往時の盛名は聞いていたが、商店はご多分に漏れず閉まっているのが多く、通りも閑散としている。高校の名前だけが島根中央高校と気を吐いていたのが痛々しい。海岸部へ出てから、有名だがこれもはじめての温泉津で一泊し、翌日三瓶山に登ってから母の49日の法事に。

 実は三次から南は広島県内を通る別の線。瀬戸内側の広島県福山から三次(ここで一泊)を経て島根県江津への大旅行であった。新幹線なら1時間前後の距離だろうが一泊を要する。だからだれも使わない。ただ乗ってみるだけの路線。学生時代からよくお世話になっているのが日本海側と瀬戸内を結ぶ伯備線(米子―岡山)。東西を通して山陰本線を走る特急は無くなって、いつの間にか新幹線を利用しなければどうにもならないように寸断されている。本線とは名のみである。
 出雲から関西へ出るには直通本線である山陰線はむしろ不便で、頻繁に走っている陰陽連絡の伯備線で岡山へ出て新幹線に乗る。日本は東京一極集中、JRは新幹線一人舞台。地方は特色を無くし衰退してゆく。地方が衰退すれば当然まん中も衰退する。米子から大山を見ながら日野川に沿って南下してゆくと生山あたりで分水嶺に達し、今度は高梁川沿いに岡山へ向かう。分水嶺とは二つ以上の河川の流れを分ける山脈のこと。分水嶺の多くはトンネルで抜けるのであまり目にできないが、伯備線は大体地上を走っている。単線なので、特急といってものんびり風景を楽しめる。
 旅はのんびり。人生もノンビリ。本州は南北(縦)に長く横径は短い。そのため列島を横断する鉄路が沢山ある。三江線や伯備線はその一つ。さすがに幅広い長野県や関東地方を一本の線でつなぐ鉄路は少ない。距離が長いし中心部にアルプスがある。松本から東京へかえる時、徒心を起して飯田線にのった。どうしてこんなにと思うほど駅が多い。景色が好いといっても同じものが延々と続くだけ、すぐ飽きる。旅はのんびりなどと悟ったようなことを書いたばかりだが、すぐに地が出てしまった。
 
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