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健康百話

2018-02-20
健康百話(89)夜間頻尿――ゴミと人間
長廻 紘

 生物の特徴として代謝があります。外から物を体内(自己)に入れ、それを利用し要らなくなったものを体外へ出すことをいいます。呼吸は酸素を入れ生じた炭酸ガスを出す、消化吸収は食物(栄養素)を入れそれを吸収したのち残りを糞便として肛門から出す。腎尿路系は体中を廻った水分を腎臓で濾過して尿道から体外へ出します。要らなくなったものを出すことができないで体内に溜まるとき各種の病気が起こります。脳に老廃物が溜まるのがアルツハイマー病。生きるということはゴミを作り、出すことと言い換えることができます。 
人間は生きる過程でゴミができ、出せなくなると死んでゆきます。ゴミには溜まりやすいところに溜まるという特性があります。ゴミの多いところを見れば納得のいくところです。全身にまんべんなく溜まってゆけば溜まりきった瞬間に頓死できるのですが、哀しいかな弱いところに溜まるのがゴミです。
大便(糞)に対して小便といわれる尿は、各種の老廃物が水と一緒に体外へ出たものです。動脈で酸素が末梢まで運ばれ、組織から出されたゴミが末梢から静脈によって心臓を経て腎動脈で腎臓へ運ばれる。尿は腎臓において血液から老廃物が濾過されて生成されます。膀胱に一定量以上の尿が溜まると尿道を通じて体外へ出されます。尿の成分は水のほかに尿素、電解質、アンモニアなどを含み、一日の排出量は1.5~2ℓである。人の身体の半分以上は水分です。水分には水のほか塩分など体を整えるミネラルも溶けています。成人の体重の3%以上の水分(60キロの人では1.8キロ)が失われると脱水になります。身体に入る水分は飲み物のほかに食事中にも1ℓ以上程度の水分が含まれています。食欲減がそのまま水分減につながります。
尿をつくり体外に排出することによって体液の組成・性質は一定に保たれます。尿が出ないのは腎臓の機能不全で生命の危険です。逆に、出すぎるのも困ったことです。ささいなことながら老人を悩ますのに過活動膀胱があります。急に尿がしたくなり我慢しづらい。日中夜間となく何度もトイレに行く。我慢できず漏らしてしまう。夜間トイレ起床に悩まされる、などといったことが主要な症状である。筆者なども何かしようとすると決まって尿意を催してしまう。さっき行ったばかりなのに、と恨んでみても駄目である。夜間頻尿は過活動膀胱の代表的な症状の一つ。夜間頻尿の原因は多尿、夜間多尿、機能的膀胱容量の減少の三つである。老人は水を飲みなさいと言われて飲むとそれが因となって尿量が増え、そのため夜間起きる羽目に陥る。若年者では膀胱コントロールは容易であるが、加齢とともにままならなくなる。
若いうちはコントロールの効いた排尿であるが歳とともに思うに任せないようになる。そのうちでも悩みの種となるのが頻尿特に夜間頻尿である。21世紀初頭における調査によると、40歳以上で夜間に排尿のために起床する者が4500万人以上、3回以上がなんと850万人以上だという。高齢になるほど夜間尿の頻度が増える。睡眠妨害だけでなく起きる(立って歩く)ときの転倒など健康被害も伴う。高齢者では2回以上の夜間頻尿があると骨折リスクが高まる。1回以下の者に比べて生存率が有意に低下しているという。転倒・骨折が寝たきりの原因になり、それが生存率低下の原因になる。
 尿道は外界に接しているので各種の病原微生物が接近しやすく、とくに該部の清潔が保ちにくく免疫力も弱っている老人で尿路感染症が起こりやすい。尿路感染を繰り返しながら弱ってゆくのがある種の高齢者である。
 脱水の症状は初期には軽いだるさや食欲低下などの夏バテ症状でなかなか脱水とは気づかれません(隠れ脱水)。進んでくるとめまい、立ちくらみなどがみられます。身体中で水分を多く含む臓器は脳、消化器、筋肉の三つで、これらは脱水によるダメージが大きい。脱水によって脳はめまい、立ちくらみ。消化器は食欲不振、嘔気。筋肉は筋肉痛やこむら返りなどが生じます。高齢者が脱水症になりやすいのは筋肉の衰え(保水力の低下)によるところが大きい。筋トレなどによって筋肉の衰えを防ぐことが大事です。
 脱水は次のような方法で見分けることができます。1.握手したとき手が冷たい 2.舌が乾いている 3.皮膚をつまんで放したとき3秒以上形が戻らない 4親指の爪先を圧迫したとき赤味が戻るのが遅い(2秒以上) 5.汗による潤いがあるわきの下が乾いている。

 
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