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健康百話

2018-02-20
健康百話(87)呼吸器と肺の病気
長廻 紘

 口から体内へ広がる口腔という名の袋は咽頭・喉頭で消化管と呼吸気道の2方向へ分かれる。 気道は太い気管から樹木の枝分かれのように分枝して細くなってゆき、ついに肺胞になる。その最終段階である分岐の先端が袋状になっている。その小さい袋の集まりを肺胞といい、ガス交換の現場である。肺胞は3億個という膨大な数からなり70~100㎡の総面積をもって大気と接している。肺胞の壁は薄い扁平上皮層からなる。
ガス交換は大気から取り入れた酸素が肺胞壁を通過し、背中合わせにある毛細血管の壁をも通り血管内に入る。それと逆の流れで、体内に生じた老廃物である炭酸ガスを大気中に放出する、炭酸ガスが血管から背中合わせの肺胞へ入って大気中へ帰ってゆきガス交換が完了する。
ガス交換において肺胞のパートナーである血管は肺循環という。それは心臓と肺をつなぐ血管網で、その末端でガス交換が行われる。血管は血管内皮細胞という上皮細胞が内貼りをしていて末端では薄いのでガスなどが通過できる。体循環系でいったん心臓に戻った炭酸ガスを含む汚れた血液が肺循環で肺にゆく。体循環系とは、心臓から出た大動脈が枝分かれして細くなり最終段階で毛細血管網を形成する。同じように毛細血管がだんだん太くなり大静脈となり心臓へ帰ってゆく。血管は体の隅々までまんべんなく通っていて、酸素のほかにもいろいろな生命に必要な物質を運ぶ。血管は最終段階で毛細血管網を形成する閉鎖系でどこにも破れはなく、交換は壁と相手の壁を通して行われる。血管系は完全な閉鎖系で、消化器系や呼吸器系と異なり外部とのつながりはない。
呼吸器系は絶えず外界の大気系に含まれる病原微生物、抗原物質、有害粒子状・ガス状物質に曝されている。冬の風物詩になっている中国北京のマスク姿はその証明である。そういうわけであるから肺を守るため精緻な生体防御機構が備わっている。呼吸器疾患にはこの防御機構の障害、逆に花粉症などに見るような防御機構の過剰な反応によってもたらされる。
肺炎:肺の炎症を肺炎といい、原因は多種にわたる。微生物(細菌性、ヴィールス性など)のほかに誤嚥性肺炎、アレルギー性肺炎などがある。症状は咳、痰、発熱、胸部痛、呼吸困難など。肺炎は単なる炎症でなくガス交換の場での異常である。肺炎に抵抗性の弱い老人人口の増加によって、肺炎は日本人の死因の第3位を占める。肺炎で亡くなる人の95%が65歳以上の高齢者である。高齢者の肺炎の特徴は、全身状態が悪くかつ様々な基礎疾患を有するので難治性で常に死に直結している、誤嚥性肺炎が多い、免疫能が低下していることに伴って弱毒性細菌によっても発症しうるなどの点である。高齢者肺炎のもう一つの特徴として症状の発現が定型的でなく、症状自体も非定型的でいつもより元気がない、食欲低下、ADL低下などのことがあり肺炎と気づかれにくい。毎年冬に繰り返すことが多いインフルエンザ肺炎は生命の危機をもたらす重症なものが多い。冬季にはインフルエンザ予防ワクチンを忘れずに摂取することと、摂取していても感染の可能性がある、接種者では発症しても症状が軽いこともあることなどに留意する。
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary diseaser略してCOPD)は高齢者に多い肺の生活習慣病であり、年々増加の傾向にあります(現在500万人以上といわれている)。なぜ起こり、どんな病気かというと

気管支炎型と肺気腫型とがあり、日本人はほとんどが肺気腫型である。喫煙が原因の90%以上を占め、喫煙者の15%が発症する。ほかに職業上の粉塵、化学物質への暴露や大気汚染物質の吸入なども発症要因となる。発症すると肺胞が壊れガス交換がうまくゆかなくなって空気が残り肺が膨れてゆきます(肺気腫)。しかしこれは進行した状態です。
 肺と心臓は密接な関係にあります。肺が膨れると心臓を圧迫し心臓のポンプ運動を妨げるのが一つ。肺血管が壊れ心臓の酸素運搬能力に負担がかかるのが二つ目。COPDの症状は咳、痰、労作時息切れなど。進行すると体がだるい、疲れやすい、無気力などといった生命力の減退が見られる。肺から心臓への酸素不足が原因。しかし、初期には症状がないこともあり、進行してからでは治療抵抗性である本性は早期に発見することが重要。それには「肺年齢測定(肺が1秒間にどれくらいの空気の流れを生み出せるかを測定する)」が推奨されている。

 
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