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健康百話

2017-11-20
健康百話(82)病気を治す――くすり
長廻 紘

 病気とは何か。身体および精神の不調である。不調のままでは何かと不都合、場合によっては病人が死に至ることもある。治さなければ、もとに戻さなければならない。治す一方の主役は医者で、もう一方のそれは内科領域では薬である。治すためにはまずその不調に名前(病名)をつける。病名をつけるということは方向性をはっきりさせることである。次いで、どうしてそんな不調が起こったか考える、原因究明。原因が分かり現在の状況(病態)が分かれば治療に取り掛かることができる。しかし、原因を除去して病気を治す本当に効く薬というものはなかったので、医者の仕事は免疫力を賦活して治る方向へ患者を向かわせること、それを補助するのが薬であった。薬はあくまでも次善の策、止むを得なくて使うのが薬である。使わないで済めば使わないのが原則である。
薬が病気に対して効果的なとき効くという。薬は効くことも効かないこともあるが、期待に反して害をなす(副作用)ことすらある。効く薬でも用量によって毒になることもある。よく効く薬ほど一般的に副作用も大きい。最も好ましくない副作用は予期せざる結果で、サリドマイド症はいまだ記憶に新しい。
 薬は勝手に服用してよいのではなく医者の処方に基づいて服用するように法律で決まっている。一般に使用が禁じられている麻薬でも、使う正当な理由があり、医者の処方があれば使用することはできる。
ほとんどの病気は症状をともなう。注意すべきは、多くの症状は必要があって、病気に対する体の反応として、ある。たとえばインフルエンザで熱が出るのはウイルスを懲らしめるために体温を上げ免疫が働きやすいように身体が働いたのである。同じく咳が出るが、病原微生物を気道から排除するための行動、下痢もおなじように病原微生物を腸から排除するための行動である。症状の元になっている病状を把握して、そのうえで必要なら症状を取去る。血圧が高いと条件反射的に降圧剤を使う者がいるが褒めたことではない。高コレステロールに対しても同じようなことが言える。身体はバカではない。身体に起こることの多くには意味がある。その意味を考えるのがよい医者。やたら症状を無くそうと慌てふためく、症状だけに対応する医療は藪の領域である。もちろん出血のように病気の直接の姿としてあるものも多く、その原因を探し症状を止めなければならないことは言うまでもない。
余談になるが、製薬会社は会社である以上利益追求を大きな目的としている。その目的の前には会社というものの性(さが)として多少のやましい行動もなくはなかろう。数年前に露見して世間の指弾を浴びた降圧剤ディオパン事件。製薬会社の社員が薬の治験に大幅に関与して効能効果を過大評価に持ち込んだ件である。わたしの偏見かもしれないが、アメリカの産軍複合体に似た製薬・医療複合体(製薬と医療が組んで何かをやってしまう)のようなことがないとは言えない、気がする。医者は薬を処方しないと収入につながらない。今はなくなったが、製薬会社の社員が医者を接待して薬の売り上げを伸ばそうとした時代があって、スポイルされた医者の中には銀座の帝王などと称される輩までいた。ターゲットにされやすいのは自由にできる子分の多い医者である。

 
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