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健康百話

2017-06-02
健康百話(67)疲労
長廻 紘

 何事であれ、長く続けると弊害が生じる、続けることができなくなる。自動車を運転して早く目的地に着きたくても赤信号があれば止まらなければいけない。そのように人生という長い道のりにもいくつもの赤信号がともる。疲労感、痛み、発熱は身体が発する三大アラームであり、休めというサイン。
疲労とはいわゆる疲れのことであるが、その定義ははっきりしないし、個人差も大きい。俗にいう疲れを知らない人が徹夜を続けても平気であるかと思えば、常時「疲れた」を連発する人もいる。疲労とは精神的および肉体的な作業能率や作業量が低下する状態で、器質的な変化をともなわない回復可能な機能低下状態とされる。疲労には程度に差があるが注意力散漫、脱力感、倦怠感、食欲不振、不眠などの疲労感とよぶ自覚症状をともなう。
 疲労の主要な原因は順不同に、集中を要する作業を続ける、パソコンの画面にずっと向かう、残業を続けるなどの肉体面だけでなく、職場の人間関係が悪い、孤独感がある、単純作業であるなどのどちらかといえば精神的な原因のことも少なくない。疲労は次のように分類できる。急性と慢性疲労、精神と肉体疲労、全身と局所疲労。急性疲労は一過性の疲労で適度の休息をとることによって回復する。慢性疲労は蓄積疲労ともいい、疲労が完全に回復することなく徐々に蓄積されて行ってなる状態である。後の二つの分類は読んで字の如し。 
疲労は活性酸素が蓄積するせいといわれている。活性酸素は細胞内にある抗酸化物質によって除去されるので普通の状態ではさほど問題にはならない。だが、過度な負荷を受けた細胞で活性酸素が多量に生産され、その除去が抗酸化物質による除去が追い付かなくてなって溜まる。細胞内に増えた活性酸素が細胞内のさまざまな箇所を傷つけ、その結果細胞の機能が低下するのが、疲労の基本的な発生機序である。
 われわれが実際に疲労を感じるのには免疫細胞が関わっている。機能低下した細胞を発見した免疫細胞が細胞疲労ありという情報を発し、それを受けた脳が当該細胞に休めという指令を出すことによって疲労感が現れる。
現代人はさまざまなストレスにさらされ自律神経が疲れている。交感神経活動時には緊張し運動しているわけであるが、脳内の自律神経中枢で、交感神経と副交感神経がスイッチして適宜休息をとるようになっているが、その切り替えがうまくいかないと、過労から疲労に行ってしまい、身体は常に興奮緊張状態にあり自律神経中枢に大きな負担がかかり長引いて疲労を引き起こす。
過労死が社会問題になっている。疲労の回復は休むことしかない。睡眠は疲労回復の万能薬である。活発に活動している昼間は活性酸素が大量に発生して、細胞を傷つけるため疲労がたまる。夜になって眠ると、活性酸素の発生が抑えられ、細胞の修復が進み疲労が取れる。そうであるから、眠れない不眠の人にとってはますます疲労を募らせるものである。疲労回復のためにふつうに行われていることは、睡眠のほかにマッサージ、温泉、栄養ドリンク・サプリなどであるが、何かが疲労回復に良いという宣伝文句に乗せられないように。乗って一時的に疲労が取れたかのように感じても、のちに疲労は倍になって戻る。

 
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