HOME > フクシ情報広場

健康百話

2017-06-02
健康百話(66)不眠 附。睡眠時無呼吸症候群
長廻 紘

 不眠は、就眠困難(寝つきが悪い)、睡眠中絶(夜間目が覚めるとなかなか眠れなくなる)、睡眠浅薄(熟睡できないあるいはねむった気がしない)の三つに分けられる。よく眠っている人にはつまらないことのように見えても、不眠は当人にとっては大問題である。不眠症は相当多くの日本人に見られ、およそ5人に1人は不眠の訴えを持っていて、20人に1人が睡眠薬を使用しているという。
最新の睡眠障害国際分類によると、不眠症は1.入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒、回復感欠如などの夜間睡眠困難があり、2.夜間の睡眠困難により、疲労、不調感、注意力低下、気分変調などの日中の問題が起きている。と定義される。適切な時間帯に床で過ごす環境が確保されているにもかかわらず、夜間睡眠の質的低下があり、そのために日中の活動の質の低下が生じる。睡眠不足であると細胞の修復はままならず成長ホルモン(細胞を修復し疲労回復に働く)が十分には分泌されないので、疲労は取れにくい。高齢になるほど有病率が上がる。また、不眠症は後の糖尿病、高血圧やうつ病の誘因となりやすい。
以上のほかに、不眠の中には過眠(覚醒していなければならないときに居眠りする)、朝の覚醒困難、昼夜逆転、睡眠に伴ういびきや呼吸停止、異常行動などという異常現象なども含まれる。不眠を考えるときには、身体的あるいは精神的な基礎疾患が横たわっていることがあるので、まずそれらの有無をかんがえる。不眠はうつ病の主要症状の一つである。また治療薬、アルコールやコーヒーお茶といった嗜好品、サプリメントなどによる不眠も少なくない。
 眠れないことを気にする人は少なくないが、多くの人は思っている以上によく寝ているものである。眠れないことを過分に気にすることはよくない。不眠対策として寝酒をする人がいるが、アルコールが分解される過程で生じるアセトアルデヒドが交感神経を刺激して、脳が覚醒してしまい夜中に目が覚めるなど弊害の方が多い。入浴や食事も寝る2時間前までに済ませておいた方がよい。
肥満者では舌も太る(大きくなる)ので気道をふさぎ、それに抵抗して息を吐くのでいびき(鼾)が生じる。閉塞がもっとひどくなると閉塞性睡眠時無呼吸症候群が生じる。サイレントキラーといわれる恐ろしい病気である。睡眠中に気道がふさがり、寝ている間に呼吸が止まってしまう。大きな鼾をかいているうちに突然呼吸が止まって、しばらくすると再び鼾をかき始めるということを繰り返す。呼吸が止まるたびに覚醒するので睡眠が浅くなり昼間に強い眠気に襲われる。問題なのはいろいろな生活習慣病が合併してくることである。酸素レベルが低下することにより交感神経活性が亢進し血圧を高くする。中等症以上の本性を放置すると高血圧、冠動脈疾患、不整脈、脳血管障害を誘発ないし悪化させる。糖尿病や高脂血症などの原因にもなり、10年生存率を大幅に低下させる。睡眠関連運動障害もあるが専門的になるので割愛する。
不眠に対して睡眠剤がつかわれるが、緊急避難的に使う場合を除いて、習慣性などの問題もあって安易に使わない方がよい。どうしても使いたい場合は経験豊富な専門医と相談する。

 
バックナンバー
健康情報広場
健康百話
広報
▲このページの先頭へ