HOME > フクシ情報広場

健康百話

2017-05-10
健康百話(65)睡眠
長廻 紘

 眠りは快楽、寝てはならないという強制は苦痛。眠らせないという拷問があるように、睡眠は生命維持に不可欠な生理現象である。睡眠には個人差が大きくてナポレオンは3時間睡眠で十分であったと伝えられているが、普通の人は、一日平均6~8時間睡眠をとらないと正常な日常生活に支障をきたす。人間は決まった時刻に眠りはじめ、決まった時刻に覚醒し、毎日ほぼ同じ時間だけ眠る。若干のずれがあるのはふつうである。疲労がたまると誰でも眠り一定時間眠ると疲労が回復して目覚める。それが思うようにいかない、寝付かれないあるいは眠ってもすぐ覚醒する状態などを一括して不眠といい、覚醒しているときにも疲労感があって十分活動することができない。
睡眠とは「周期的に繰り返される意識喪失に似た状態で、外観的には周囲の環境からの刺激に反応しなくなり、感覚や反射機能も低下しているが、麻酔や昏睡と異なりいつでも覚醒できる状態」と定義される。睡眠には浅い眠りのレム睡眠(REM、急速眼球運動のみられる逆説睡眠)と深い眠りの非レム睡眠とがあり、一定の間隔で繰り返される。寝入りは非レム睡眠で、レムと非レム合わせて90~120分間隔で、一夜で3~6回繰り返される。睡眠は脳波に変化をもたらし、脳波は睡眠の深さによって変化する。睡眠が深くなるにつれて覚醒時にみられるα波からδ波に移行する。
レム睡眠は、急速な眼球運動rapid eye movementをともなうので、その英語の頭文字をとってこの名称(REM)がある。副交感神経の働きが盛んなため血圧は比較的高く脈拍も高めであるが、筋肉は弛緩している。非レム睡眠時は脳や自律神経の活動レベルは低下しているが、筋肉は完全には弛緩していない。この睡眠のとき脳細胞の修復が行われている。睡眠時には、疲労回復に重要な役割を果たす成長ホルモンが分泌されるが、最も多量なのが深い眠りの寝入ったときである。疲労回復には寝はじめに深く眠ることが重要である。十分な睡眠は疲労回復に特効薬的に働く。寝つきが悪いと、細胞修復はままならず疲れは残る。
睡眠と疲労の関係は次のようである。活発に活動している昼間は活性酸素が大量に発生し、細胞を傷つける、すなわち疲労がたまる。夜になって眠ると、活性酸素の発生が抑えられその間に細胞の修復が進められ疲労が取れる。十分な睡眠があると疲労は取れすっきりと目覚める。活性酸素とは通常の酸素に比べて、著しく化学反応を起こしやすい酸素である。
疲労回復に効く正しい睡眠のとり方はつぎのとおりである。夜間の寝る前に強い光を浴びると脳を覚醒させてしまうので、避ける方がよい。パソコン、スマートフォン、TVなども。体内時計のリズムを狂わせるので寝だめは好もしくない。睡眠薬やアルコールに過度に頼らない。食事は就眠の1~2時間前に済ます。要するに昼間から夜間にスムースに移行してゆくことである。
童話の世界に「眠り姫」があり、何十年も眠ったままでいてある時王子様が来て眠りから覚ましてハッピーエンドというのがあるが、現実世界ではそんなことはなく、起きるときには起きていなくてはいけません。

 
バックナンバー
健康情報広場
健康百話
広報
▲このページの先頭へ