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健康百話

2017-05-10
健康百話(64)性格と健康
長廻 紘

 性格が特定の疾患と直接的につながることはないが、そのように考えたがる人が少なからずいる。人の性格を分類する方法にはいろいろあるが「人それぞれ」という言葉があるように人はみな違う。それを一定の枠に収めようとすることには土台無理があり、性格分類というものは大雑把なものにならざるを得ない。性格とは人の感情や意志の面でのある程度持続的な傾向や性質を言い、精神病を除く疾病は肉体の異常を言うので両者は直接的には関係しない。すなわち定義はあいまいというか、中核部は別にして周辺部は重複している。したがってある性格の人が特定の病気になりやすいということはない、というか精神のものである性格と肉体のものである病気は関係ない。しかし、血液型がある性格と結び付けて語られるように性格というものは神秘性を帯びているので、より分かりやすいものと結び付けて語られる傾向にある。よく耳にするのが癌性格(癌にかかりやすい性格)であるが、そんなものはない。
上記のように、性格と発病とは関係ないが、疾病の発病後の経過は若干関係するという意見の人は少なからずある。病気の受け止め方は人によって異なるが、性格もかかわって一定のパターンはある。がん告知後の反応に関してキュブラー・ロスが詳細に検討した古典的な業績がある。最近では精神腫瘍学という分野が開拓され、そこでは心の状態が癌患者にどのような影響を与えるかが研究されている。簡単に言えば、前向きに生きるという生き方が癌の予後に対してさまざまなプラス効果を与えるという。反対に癌告知を受けて落ち込んだままの精神状態にある人は前者とは逆の影響がみられ、ひどい場合にはうつ病になってしまう者さえあるという。
なにごとによらず心の持ち方ということは大切であり、心にまとわりついて離れない癌から意識を他に向ける努力は必要である。山登り、水泳、知らない国への旅行あるいは便所や風呂の大掃除といった、身体を使い疲れる作業に没頭する。そうするとその期間だけにしても癌のことを忘れている。それが重なるといつの間にか癌が頭の全体を占めることがなくなり他のことも考えうるようになる。結果的にそれが癌にとってもよい効果を及ぼすようである。
癌はいまでは治る病気のうちに入る。治る病気である肺炎で死ぬ人があるように癌で死ぬ人はたくさんいる。しかし、早期癌はもちろんある程度進行したがんでも大体治る、治りきらないまでも癌を抱えたまま平均寿命まで達する人が多い。癌の種類にもよるが治療後10年生存率が平均60%を超える時代である。そうすると、がんの治療後ながいであろう期間をポジティブな気持ちで生きていた方がよいに決まっている。
健康ノイローゼという言葉があるように、健康であることに対して強迫観念的に神経質になっている人を見受ける。逆に何か病気を見つけて欲しくて、としか思えないほど熱心に病院巡りをしている人もいる。五体100%満足などといったことはあり得ないことだから若干の不調を抱えてみな生きていかざるを得ないのだから、癌があったって平気という人のほうが愚図愚図言っている人より何かにつけて得であるのは言うまでもない。

 
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