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健康百話

2017-03-23
健康百話(62)老化
長廻 紘

 秦の始皇帝が不老不死の仙薬を探してその道の心得ある者を方々へ送ったというのは有名な話である。そのように、あれほどこの世の栄華をきわめた者でも飽くことなく長寿に挑戦している。ましてやこの世でみじめな暮らしを強いられている凡人が、せめて長く生きていつか栄華の片鱗にでも触れたいと思うのは無理ないところである。
しかし、生きているということは老化とひきつづく死という裏のカードの表である。死というものが在るからわれわれは緊張感をもって生きることができるので、老化や死がなかったら千年万年おなじ顔をして同じことを考えていることになるのだから、味気ないことおびただしい。老化や死を嘆くより上手に生きることにエネルギーを注いだ方がよいに決まっている。しかし、上手に生きるとは何かは、これまた訳は分からず難しいことおびただしい。不老不死は儚い望みであり続ける。
老化防止は、アダムが食べて楽園から追放された禁断の木の実であって決して望んではいけないことである。しかし、老化に伴って増える疾病の予防あるいは理解の為に老化抑制について考えることを許されるのかもしれません。たとえば、下に述べるNMNという老化防止遺伝子の研究から糖尿病の症状が改善されたという報告がある。
老化とはそもそもいかなるものでしょうか。老化には細胞老化と個体老化があり、前者はDNAが傷つきタンパク質や細胞膜が酸化した状態にあり、機能低下し分裂能を無くした細胞です。こういった細胞が死滅しても新たにできてくる細胞数と均衡すれば臓器の機能や重量は保持されます。幹細胞という分裂能を保持している諸細胞の基となる細胞があり、減った細胞を補います。この幹細胞も加齢とともに減少します。加齢に伴う生理機能は臓器によって異なり、神経伝達速度、基礎代謝率、細胞内水分はよく保持されるが、腎機能、呼吸機能は5-60歳ごろから急に衰えます。個体の生理学的老化は個体を構成する細胞老化の集合体といえます。
老化も生物のあらゆる変化に於けると同じように、やはり遺伝子に支配されていて、遺伝性早老症(ウェルナー症候群など)の研究からだんだん明らかになっています。DNA修復関連酵素の欠損や変異が老化プロセスを早めています。個体老化の進行は活性酸素(フリーラジカル)による生体への酸化ストレスの蓄積が原因であるとの説(フリーラジカル理論)が支持されています。老化が遺伝子の支配下にあるのなら老化抑制もまた遺伝子に関係している。
サーチュインという遺伝子はそのようなもので「長寿遺伝子」と呼ばれ、さまざまな臓器で老化を抑制していると考えられている。まだよくわからない点も多いが、運動や摂取カロリーの制限によって活性化することが動物実験によって確かめられている。サーチュインを活性化する働きを持つNMNは体内にありその量は年齢とともに減少すると分かっている。老化抑制物質たとえばレスベラトールは健康人には効果がないといわれる。

 
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