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健康百話

2017-01-17
健康百話(58)消化と吸収
長廻 紘

 生物は外から栄養を得て生きています。食物を体外からとり込んで、それを消化(栄養物質を体内へ取り入れることができる単純な形態に変化させる過程のこと)、吸収(細胞によって利用するために消化されたものを体内へ入れること)して、体組織を作ったりエネルギー源となったりしています。これは、光合成によって自分で栄養を得ている植物と根本的に違うところです。 
口から入った食物は胃の中に5時間程度とどまりそこで砕かれ胃液で殺菌され、胃液と攪拌されます。十分に攪拌され溶解された食物は小腸に送り込まれ本格的な消化が行われます。小腸表面には沢山の絨毛という襞(ひだ)がありその表面により小さな微絨毛があり、絨毛を伸ばすと大きな部屋に匹敵する広大な表面積になり、吸収は効率的に行われています。腸管を通るうちに吸収され易い分子の小さい単純な形になり、細胞を通過(エンドサイトーシス)しやすくなり、毛細血管の細胞膜を通過し、血液中に取り込まれます。
単純な形とは、分子がより小さいという意味です。タンパク質は最終的にアミノ酸に分解され、小腸の絨毛の毛細血管から肝臓に運ばれます。脂肪は脂肪酸とグリセリンに加水分解され絨毛表面の乳び管からリンパ管へ入ります。炭水化物は多糖類から単糖類に分解され最後はグルコースに、といった具合です。これらが体内で再びたんぱく質、脂肪、炭水化物に再合成されます。タンパク質はおもに組織の形成と維持に使われ分解されて燃料(エネルギー原)になることは比較的稀です。対照的に炭水化物と脂肪は貯蔵され、燃焼されてエネルギーとなります。そのさい炭水化物のほうが脂肪よりはるかに容易に急速に燃焼されるが、エネルギーを脂肪ほど濃密には蓄えていません。すなわち1ℊの糖に含まれるエネルギー量(4キロカロリー)は同量の脂肪(9キロカロリー)より遥かに少ないため余剰エネルギーのほとんどは脂肪として蓄えられます。
身体はいわば燃料の銀行のようなもので、食料はエネルギー(ATP)として貯蔵され、必要に応じ引き出し使用されます。動物が何かをするためにはエネルギーが必要です。活動のための燃料として使うエネルギーのほぼすべてはATP(アデノシン3リン酸)という分子に蓄えられています。ATPは体のいたるところに遍く分布しています。これはためたり使ったりできるという意味で貨幣(お金)に譬えることができます。
エネルギーとして使われなかったものは貯蔵されます。脂肪は脂肪細胞に取り込まれ、多くは皮下にあり皮下脂肪といいます。その他に筋肉や腹部臓器の周りに集まり内臓脂肪といいます。内臓脂肪が過多になるといわゆるメタボリックシンドロームで各種の障害のもととなります。炭水化物はグルコースとして血中に、グリコーゲンとして肝臓に貯蔵されてあります。血中につねに十分なグルコースが存在して組織のエネルギー源となっていなければなりませんが、多すぎると組織にとって有害です。血中グルコースはインシュリンというホルモンによって調整されていますがそれが上手くゆかないのが糖尿病です。

 
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