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健康百話

2016-11-22
健康百話(54)栄養ケア・マネジメント
長廻 紘

 食事は人生の楽しみの大きなものの一つであるのは誰でもが首肯するところです。自分の歯で噛んで食べることができないのは食の楽しみの魅力を大いに減じるものです。口から食べることは生きる意欲や楽しみにつながります。噛んで食べることによって五感が刺激され脳が活性化することもよく知られてきています。人間の第一級(生命に直結)の欲望は食欲と性欲です。名誉欲や金銭欲は生きることとは直接の関係のない第二級のものです。高齢は色々なものを失ってゆくことですが、第一級の欲が残り、そのうちでも最後まで残るのが食欲です。それによって正常から要支援1.2、要介護1-5へと転落の道を歩まざるを得なくなります。食欲がなくなれば終わり、人生の楽しみはゼロに近くなります。食欲の喪失は他のもろもろの生きるための資産(動く、考えるなど)を道連れにします。
老年であることはそれ自体が病気、老年症候群です。放っておくとどんどん進んで行きます。それを予防ないし進行を抑えるのは正しい評価に基づいた栄養摂取、老人の状態に応じた形態の食事の提供、食事を上手に介助することです。必要な栄養を十分に摂ることができれば老年症候群の進行を止める、少なくも遅らせることができます。
食べることの意義は1.エネルギー・たんぱく質の十分な摂取(筋たんぱく質の維持) 2.身体機能・生活機能(ADL)の維持。 3.免疫機能の維持 4.要介護状態や重度化の予防など。これらはとくに高齢者には重要です。
サルコペニアは転倒・骨折、移動能力の低下、ADLの制限、嚥下機能障害や認知症につながるのでサルコペニアを防ぐのは栄養評価の大きな目標です。アミノ酸、ビタミンDがタンパク合成を促進し、それと炎症をおさえる抗酸化成分を摂取することです。抗酸化成分は炎症性サイトカインを抑え蛋白分解を防ぎサルコペニアに予防的に働きます。それと運動がサルコペニア予防の主となります。食事が有効に利用される(筋肉量増加につながる)ためには運動が重要です。慢性炎症があると炎症性サイトカインの生産が増え筋肉分解に促進的に働きます。栄養ケア・マネジメントは、栄養状態を正しく評価し、必要カロリーと食形態(常食、ミンチ、ソフト、ムース、液状など)の栄養計画を立て、低栄養状態の予防・改善を通じて高齢者の生活機能の維持・改善や尊厳ある自己実現に寄与するものです。
低栄養では次のような不都合がみられます。1.病気にかかりやすい 2.認知機能の低下 3.筋力低下、骨量低下、その結果としての骨折 4.気力低下 5.免疫機能の低下など。低栄養とは端的に言って食事量の減少が原因です。それには食欲低下、噛む力の低下、食事形態があわないなど多くの因子が関与していますので、何が問題か早く見極めることが求められます。
栄養状態の指標として1.標準体重(BMI。体重(kg)/身長(m)自乗)。低栄養は18.5~20。2.体重減少率=3-6ケ月で5%以上の減少。
3.血清アルブミン値。3.5以下では内臓たんぱく質の減少。2.8以下では浮腫。栄養状態を評価する方法は使いやすく簡単であることが大切です。

 
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