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健康百話

2016-10-31
健康百話(52)老年症候群 2.
長廻 紘

 老年症候群は、主として動作に関係したことと精神的なものの二つに分けることができます。動作に関係することの根本は人類が四足から二本足で立つようになったことに起因するといわれています。人類は足底から頭頂まで地球に対して真直ぐに立っています。600万年前(歩行開始)から、修正に修正を重ねて直立歩行に適応するよう努力してきたものの、それは四足に比べて極めて不安定なものです。若いころは直立であっても問題は顕在化することなくあらゆる動作がバランスよく遂行されますが、加齢とともに努力しないと直立の弊害が頭をもたげてきます。端的に言えば、次の動作がスムースにできるような体位・姿勢が保てなくなります。真直ぐであるためには全身の筋肉が協調して統一的に働く必要があります。それでも、真直ぐであり重心が腰にあるという基本線(正しい姿勢)が崩れなければ色々な身体行動がスムースに行われます。われわれが動くとき必ず片足の時があり、理論的に動作の半分は片足です。歩く時を考えればよく分かります。片足立ちの訓練は転倒対策として不可無視。
高齢になると、自然になされていた姿勢の保持が難しくなり骨や筋肉の協調が崩れ姿勢が乱れてきます。高齢に伴う復元力の低下(恒常性保持力の低下)によるものです。いわゆる猫背、腰曲がりなどといった姿勢の崩れが発端となって各種の老年症候群が踵を接して起こって来ます。足底をしっかり地・床につけて立ち、重心は下腹部(臍下丹田)から腰のあたりにありその上に上半身が乗っている。座ったときは腰が立ち緩いS字状の上半身の上に首と頭部がある。座ったときに椅子の背もたれに寄りかからない。なにものにも頼らず自力で座るような努力(まさに努力です)がなされなければやがて上半身が不安定になり下半身を巻き込んで全身が不安定になります。
75歳以上を特に後期高齢者といい、なにが起こってもおかしくありません。なかでも転倒は非常に多く、かつ骨折などの重大な結果を来します。わたしたちは色々なことを当然のこととして普段なにげなく行っていますが、そこには多くの身体システムが密接に関わっています。若い人には何でもないことでも、高齢者では努力して為さなければうまく行かないことが多くなります。個々のことあるいはそれら相互の連携がうまくゆかないとたちまちシステムの破たんを来してしまいます。加齢とともに転倒のリスクは増大してきます。
 老年症候群は身体的には虚弱化・フレイルが始まりで、ロコモやサルコペニアがつづきます。フレイル(fraility、弱さ)は体重減少、疲れやすさの自覚、身体活動量の低下、筋力低下、歩く速度の低下のうち三つ以上をもって診断されます。この状態が進んでくるとロコモティーブ・シンドローム(略してロコモ)といって加齢に伴う運動器の障害(筋力低下、骨粗しょう症、変形性関節症など)、「立つ、歩く」などの移動能力の低下が起こります。サルコペニアとは食事量の低下、身体活動の低下などによる筋肉量の減少です。フレイル、ロコモ、サルコペニアは独立したものでなく、お互いに因となり果となるもので重なる部分が少なくありません。栄養状態が悪くなると介護度が上がり、逆もまた真です。また認知症患者の生活自立度と栄養状態も相関します。

 
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