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健康百話

2016-10-31
健康百話(51)老年症候群 1.
長廻 紘

 加齢とともに人間(動物)は衰弱しやがて死を迎えます。それは生理的なことで、病気とはまったく別のものと考えられています。しかし、最近の研究は加齢に伴う変化はその根っこのところで慢性疾患の発生機序とも関係がある、類似していると分かってきました。両者においては動物が基本的に持っている恒常性保持力がだんだん蝕まれてきて内外性のストレスに対抗する力が弱まったことに基づいています。加齢とともに起こっていることは生体が基本的に持っている恒常性(ホメオスターシス)を保つ力が弱ってくる、エントロピーが増大する(無秩序)ということです。高齢であることは種々の病態生む一種の症候群・シンドロームといえます。高齢は生理的変化がそのまま病的状態でもあるということです。
年を取ること(加齢)は、生物の常態というべき元へ戻る力の減弱を自動的に意味します。病気も老年症候群も程度の差は大きく、たとえば病気では健常者と全く変わらないもの(たとえば早期癌)から死の一歩手前のもの(進行がん)まで様々ですが、病気であることことに変わりはありません。高齢であることも同じで、健常者と全く変わらないものから高度の衰弱まで様々です。ただ病気は積極的に治すことができるが老年はそうはいきません。適応する道があるだけ。
老年であるということがただ一つの大きな原因となって、種々の身体精神上の不都合が生じ、老年症候群と呼ばれます。主な症状はせん妄、慢性めまい、便秘、尿失禁、身体バランスが失われての転倒などです。若年者においては、これらの症状はそれぞれ特有の原因があるのでその原因を除けば治すことができますが、高齢という原因を除くことはできません。薬などで一時的に軽快することはあっても完全治癒ということはありません。 
はじまりは加齢とともに何となく弱ってくることです(フレイル)。フレイルfrailtyは「身体全体にわたる弱りの累積に由来する予備力やストレス抵抗性の減少の結果、脆弱性から死までの種々のことが起こる肉体的シンドローム」と定義される。具体的には体重減少、易疲労性、握力低下、身体活動性の低下、歩く速度が遅くなるなどに現れて来ます。老化そのものといってよいバランス障害、末梢神経障害、内耳の前庭神経障害(平衡感覚喪失)、筋力低下、抑うつさらには服用している薬の副作用などといった内因性のリスクがあって、そこへ様々な誘因(きっかけ)が加わると容易に転びます。誘因となるものはつまずき、滑り、脱力、めまい、せん妄などです。
高齢者は様々な理由から食欲低下が起こりやすくなります。摂食量が減ると全身に影響がおよび老年症候群のさらなる促進につながります。摂食量減少は水分減少に等しく特に夏場は様々な不調を来すようになります(食欲低下シンドローム)。フレイルと食事量減少は因となり果となり進んで行きます。フレイルの最初の兆候に目を凝らし早めの手を打つことが求められます。それらは若い人の場合と異なって、あっという間に大事にいたりかねません、要注意。

 
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