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健康百話

2016-08-19
健康百話(50)早食いの害
長廻 紘

食べるものが極端に少なかった戦中、戦争直後では、ごくまれに美味しそうなものを目の前に出されても胃が小さくなっていて思ったほど食べられなかったと言います。逆にいまどきは質的に量的に食料が多いのに、ダイエットなどと罰当たりなことを言う人がいます。何事も世につれ人に連れです。
 早食い(急いで食べること)は良くない、太るし糖尿病になりやすいなどと言われます。子供の頃、よく噛んで食べなさいと言われたのを思い出します。箸置きというものがあって、一口ごとに箸を箸置きにおいて口を休めなさい、と。もう一つ思い出すのは、はやく食べて次の箸を出さないと他の兄弟に食べられてしまうことです。食べるものが少なくて食べる兄弟の多かったころの懐かしい話です。いまやまったく逆、食べるものは多く食べる人は少ない。日本はそうだけれども、世界中には食べるものが無くて飢えに苦しんでいる人が何十億人もいるそうです。
食べものは食べればよいのであって、速い遅いはどうでもよいことである、のでしょうか。そうではありません。早食いだと、よく噛まずに呑み込むので食道や胃に負担がかかる、満腹感を覚える前に沢山食べてしまい肥満につながる、などの難点が挙げられています。また、よくかんでゆっくり食べると胃腸の血流量が増え消化を助けます。早食いではそういった効果は少ないと思われます。ハンバーグとかフライドチキンなどと言ったファストフォードがもてはやされています。生活の流れが速くなってゆっくり味わって食べる余裕のある人が減った所為と思われます。
早食いはまた糖尿病と深い関係にあります。早食いの人はそうでない人に比べて糖尿病の発生率が高いことはよく知られています。早く食べると血糖値が急上昇しますが、それを抑えようと膵臓から大量のインスリンが分泌されます。その状態が長く続くと膵臓がつかれ糖尿病につながります。早食いが誘発する肥満も糖尿病になりやすくします。TVでよく早食い競争をやっていて、結構人気があるようです。人間業と思えないほどたくさんかつ大量に食べています。早食いが本当によくないなら誰かが騒ぎ出す(騒ぎ好きな人は沢山います)のに、番組が続いているところを見るとそういうことはないようです。
早食いが悪いと知っても他の悪い癖と同じように治せないものです。最初に言った箸置きの利用がてっとり早く有効な方法のように思えます。箸置きは飾りではありません、立派な存在理由があるのです。金かダイヤモンドで箸置きを作り、見るたびに早食いは悪いと思いだすようにしたらどうでしょうか。
胃腸などの消化管は植物的といわれ、人体の中では原始的部分に相当します。生命を最終的に支えている臓器です。そうかといって暴飲暴食で代表されるように粗末に扱うと仕返しを受けます。物事を考えたり、新聞雑誌やTVを見たりしながらうわの空で食べるのは作った人に失礼なばかりではなく、ブーメランのように自分に返ってきます。おしゃべりしながら楽しく食べるのは悪いことではないような気がします。

 
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