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健康百話

2016-06-27
健康百話(46)サルコペニア
長廻 紘

骨や関節とそれらをつなぐ筋肉が協働して身体がスムースに動きます。立つ、歩くなどといった人間の基本的な動作を可能にするのが骨関節系と協働する筋肉です。高齢になると筋力が衰えて動きが緩慢になり遂には転倒につながります。筋力の低下が原因になって起こる状態はサルコペニアと呼ばれ運動器症候群(ロコモ)と並んで最近注目を集めています。色々な原因で同じ結果が生じるという症候群です。サルコとはギリシャ語で筋肉を意味し、たとえばサルコーマは筋肉の腫瘍のことです。ペニアは減少を意味します。訳せば筋肉の減少とか筋力低下で、なにも外国語をそのまま使うことは無いと思いますが、メタボで味を占めた素人をびっくりさせて患者を増やそうという医者の悪い癖が出たのでしょう。ただ筋肉の低下では言葉として締りがないのも確かですが。
サルコペニアはロコモの前段階と位置付けられています。筋力は人間の基本的なことですから、それだけに止まらないで外出や人付き合いの低下にまでつながるのが怖いのです。その先に在るのが寝たきりと認知症です。教育は今日行く、教養は今日用事がある。筋肉は放っておくと年令と共に減少します。加齢とともに起こるのは普通の現象ですが、タンパク質不足という食生活と運動不足などが加わると急速な筋肉現象が起こります。対策は運動と食事。簡単に取り組めるのが歩行です。近所を歩きだんだん時間と距離を増やしてゆく。その内に速歩や坂のぼりをまじえたりするとさらに効果的です。歩くのが苦にならなくなったら週一回くらい低い山に登るのも悪くありません。気を付けなければならないのは続けることで、張り切りすぎて途中で止める羽目になっては本も子もありません。食事では筋肉の素材となる魚や肉といったたんぱく質を意識的に摂取し、かつ乳製品や野菜などにも目をくばったバランスある食餌であることが大事です。
しかし、筋肉は骨や軟骨と違って鍛えれば維持ないし増量すら可能です。サルコの簡単な検査方法として次のことが挙げられています。両手の、親指と人差し指で輪をつくってふくらはぎ(脹脛)のもっとも太い部分を囲みます。囲んで明らかに隙間ができればサルコペニアの危険性が大、囲めなければ危険性は低いことになります。
 加齢に伴う変化は、サルコペニア、ロコモ、フレイルという順に進んで行きます。フレイルも他の二つと似たような概念であるが、運動器以外の心の問題も含めた身心の機能低下を言います。体の動きが思うようにゆかないことが因となってこころの健康まで蝕んできた状態のことです。フレイルと言われると、ドキッとしてあたかも重病になったかと思うが、なんのことはない虚弱(要支援)のことである。2014年、老年医学会が声明をだし関心を喚起したので一般に周知しました。身体は何処がおかしくなっても他に影響を与えますが、生命に直接関係する心臓や肺は別にして、上(脳)と下(足)は全身に影響が及ぶという意味で特別です。頭は言うまでもありませんが、足は想像以上です。足には数的に骨の半分ぐらいがあり、それらの微妙なバランスの上に立つ、歩くといった動作が成り立っています。

 
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