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健康百話

2016-05-13
健康百話(44)ロコモ
長廻 紘

最近ロコモ(locomotion)という言葉をよく耳にするようになりました。高齢者が増えて、手や足の関節や筋肉が思うように働かなくなって生じる運動障害のことです。筋肉は骨や関節などと共に運動器と呼ばれ、身体を動かし支えています。運動器が思うように動かなくなると以前なら何でもなかったことが難しくなる、ときには努力してもできなくなります。それどころか、なんらかの障害につながってしまい、滑るとか転ぶとかから骨折に至ります。誰しもが加齢とともに運動が思うようにいかなくなるものです。
以前なら、身体全体が平均して弱ってきて死んでいったものですが、最近ではなかなか死ねないのでどこかが不如意なまま生き続けるからだと思います。他の臓器、たとえば心臓や肺が悪くなると寿命に影響してきますが、ロコモで身体が動きにくいからと言って寿命にはさほど響いてきません。不健康期という言葉があります。不如意に生きざるを得ない期間で平均寿命と健康寿命の差、すなわち健康を失ってから亡くなるまで生きる期間のことで、男性9年女性13年くらいと言われています。
 なぜロコモが問題視されるようになったかというと、要介護の原因(全体の25%、他は脳血管障害、認知症など)となり医療費の増大にかかわって来る、普段の生活中における心がけ次第で予防できるからです。医療費はできれば減らしたいものです。もちろん大声では言いませんが陰でははっきり言っていて、それは予算に現れます。ロコモという変な外国語をわざわざ使って、それが眼に着くようにした本当の理由です。20年前の医療費は年間30兆円と言われていましたが最近では40兆円に達しています。介護に人と予算が使われるのは国家全体を考えれば勿体ないことと言わざるをえません。
加齢で衰えやすいのは太もも、臀部、体幹などの大きな筋肉で、ネットショッピングや宅急便などで欲しいものが簡単に手に入る時代です。大きな筋肉を使わなくても過ごせるので案外その衰えに気が付かないものです。次のようなことがチェックポイントと言われています。坐った状態から手を使わずに立てない、片足立ちができない、家の中でつまずく、滑って転ぶ、階段を手すりにつかまらないと昇降ができない、重たいものが持てない、15分くらい続けて歩けない、速くあるけないので、横断歩道を青信号内にわたりきらないなど。
脚の筋力を示す歩行速度と平均余命は相関し、足が速い人ほど長生きする傾向があると言います。足が速いとはとりもなおさず足の筋肉が保たれていて、日常生活で買い物や庭の草取りなどいろいろなことを面倒くさがらずにできるからです。最も簡単な歩行を積極的に行うことがロコモから逃れる第一歩と思います。
加齢に伴って筋力が著しく低下してゆく状態をサルコペニアといいます。食欲低下と運動不足が主な原因と言われています。筋肉、骨、関節の能力低下が一連の悪循環の引き金を引いていると言えます。既知のことをロコモのように外国語で言って、新しい概念のことであるかのように見せかけるが昔からある悪い癖です。

 
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