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健康百話

2016-01-22
健康百話(37)これでいいのだ
長廻 紘

 遺伝子は生物の体内に起こるあらゆることをコントロールする司令塔、癌化を促進するのも抑制するのも遺伝子です。癌遺伝子が日々の生活にともなって変化し癌につながるといわれています。
われわれは、つねになにかに急かされたように先を急がされている、落ち着いて考えたり観察したりすることがお座なりになっているような気がします。多くのことはそれでよいのでしょうが、よく見て考えなければならないこともあります。ときにはブレーキをかけて立ち止まってみることも必要です。せかせかとアクセルを踏み続けている人がなにかに気づくことはおそらくないでしょう。気づくべき時には既に気づくべきものは後ろに去っている。
癌は順調に経過してきた者へのブレーキとなりえます。内発的なものでなく、外からかかった強制的ブレーキ。外からにしてもブレーキはブレーキです。ブレーキをかけることが出来た人だけが「おや」と、なにかに気づくことができます。ブレーキは気づきのきっかけとなり真実をみせてくれます。「気づく」ことは生きてゆくうえでの大きな財産です。適度なブレーキは人生の潤滑油。ブレーキが、真実への道を拓いてくれます。ブレーキはかけようと思っても簡単に掛るものではありません。すくなくともブレーキというものがあることを知っていなくては。
ブレーキをかける簡単な方法は旅に出ることです。旅行に出ること自体がブレーキであるし、旅先で起こることの数々がブレーキの基になります。計画はあっても良いが、なにがでてくるか分からない無計画の方がよい。ア、こんなことが、が充ちている。
気づき得るのは馬鹿か利口か。バカになるのはブレーキをかけることだから上手にバカになるのは難しい。「ただ馬鹿つったって、本当の馬鹿じゃなきゃ駄目なんだからな。立派な馬鹿になるのは大変なんだ。だから、馬鹿になる自信がなかったら、ごく普通の利口な人でいたほうがいいよ。要するに、馬鹿を治す必要はない。利口を直した方がいいのだ(赤塚不二夫)」。莫迦のふりをしたってすぐに見破られる。「あいつはバカのふりをしているが、本物の馬鹿ですよ」。ばかはなろうとしてなれるものではない。 孔子の弟子の顔回や信長あるいは現代の漱石・賢治のようにアクセルを踏み続けると夭折への道しかない。凡人は自爆しないように「これでいいのだブレーキ(赤塚不二夫)」を忘れない。ブレーキがあったからこの世は楽しく、やがて癌が来ても耐えられる。物事が見えている人だけにブレーキを掛けることができる。
癌というブレーキに伴って体の中に穴のようなものが開き、そこを通して外の風が吹きこんでくる。癌に罹ってなにかを感じることができる人は、不幸中の幸いといえる。病気という穴が開いたら閉じなくてはならないが、閉じ急いではもったいない。その穴からふだん見えないものが見える。癌と隙間風が共同して、うまく化学反応を起こしてくれます。健康な時、見えなかったものが見える。聖書に「貧しきものは幸いかな」とある。貧しきものは心に穴のあいた人のことである。その穴から賢者の言葉が染み込んでくる。

 
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