HOME > フクシ情報広場

健康百話

2015-11-04
健康百話(34)コレステロール
長廻 紘

 善悪二元論、ある現象を説明するのに善か悪かの二つの根本原理でもってする考え方があります。しかし、大部分のことは善でも悪でもなく相対的なものです。思い込みによって勝手に善か悪か決めるのはあってはならないことです。
日常医学において必要以上に悪の親玉のように言われといるものにコレステロール、とくに悪玉があります。血中濃度が高まると血管壁にたまり動脈硬化などを招き要注意ということが知れ渡っていて、高齢者間でその値に一喜一憂の会話が交わされているのを耳にすることが少なくありません。そのようなコレステロールであるが案外知られていないというか誤解が少なくありません。たとえば善玉と悪玉コレステロールの合計が総コレステロールになる、などは代表的な例です。また、次のような重要な事実はあまり知られていません。血中コレステロール値を薬物で低下させた場合、その人の死亡率は高くなる。コレステロール生合成を抑制する作用のある薬品たとえばスタチン系薬剤を飲み続けて起こる低コレステロール血症に関して、血中値をあまり計らない医者が少なくないのは嘆かわしいことです。
コレステロールは細胞膜の主要な構成成分であるほか、ビタミンD、性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料であり、生体にとって敵ではなく基本的には味方です。血中コレステロールはタンパク質、中性脂肪やリン脂質と合体してリポタンパク質という形で血液にとけて存在しています。血中コレステロール値は130-180mgが正常値で、高すぎても低すぎても健康によくありません。
従来の医学書には、卵や魚卵などコレステロールを多く含む食品は控えるようにと記されていました。ところが最近の研究によると、血中コレステロールの内、食事から摂られるものは約20%に過ぎない、コレステロールの大部分は食餌由来ではなく体内・肝臓で生産される。血中コレステロールが高値の人がコレステロールを多く含む食物の摂取を減らしても心筋梗塞の予防にはつながらないということである。ただしこれは、食事からとるコレステロールの基準であって、血中の高コレステロール自体はこれまで通り動脈硬化症の危険因子の一つです。アメリカ政府は新しい食生活指針で、コレステロールの摂取基準を撤廃するという。
高コレステロール血症が注目されやすいが実は低値のほうに問題が多いようです。高すぎるより低すぎる方が有害である。生体にとって重要な物質であるから必要以上に減少すると様々な不都合が生じるのは分かり易い所です。血中コレステロール値が基準値以下の人においてはそれ以外の群に比べて死亡率が際立って高いという。「善玉/悪玉コレステロール」は、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示し、コレステロール分子自体を指すものではありません。善玉と悪玉の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これによりコレステロールの血管内での振る舞いが変わることに由来します。悪玉のほうの測定値に誤差が大きいことが分かり、その測定は事実上廃止されています。

 
バックナンバー
健康情報広場
健康百話
広報
▲このページの先頭へ