HOME > フクシ情報広場

健康百話

2015-07-02
健康百話(26)糖尿病
長廻 紘

 病気は時間的に空間的に変化してゆきます。スペイン人が16世紀に南米大陸のアステカやインカといった大帝国を少人数で短期間に滅ぼしたのがよい例です。ヨーロッパに在って南米にはなかった天然痘などの病気がもたらされ、その経験の無かったインカ人は、新しい病気に負けてしまったと言われています。馬や鉄砲も大きな威力を発揮したこともありますが、ここで必要なのは病気のことで、人は未知の病気には弱いのです。天然痘の代わりにスペイン人がもらってきたのが梅毒で、またたく間に日本も含むいわゆる旧世界に広がったのは、これまたよく知られた所です。天然痘は人間世界から消滅したとWHOが宣言しました。梅毒もかつての威力をすっかり失ってしまいました。病気も馬鹿ではないので人を滅ぼしたら餌を失くして自分も死滅するしかなくなるわけですから。そういう意味では、あまりにも目立ちすぎた天然痘は不必要に人間を刺激してしまったバカということになるでしょう。

死ぬべき人間を死なせるのは病気ですから、病気は無くなりません。次から次と新たな病気がでてきます。エイズのようにまったく新しいものも無くはありませんが、多くは古くからあるものが装い新たにして活動を始めます。糖尿病を例にとって考えて見ましょう。生活の変化(要するに贅沢になった)と人口の高齢化とともに非常に多くなった病気なのですから。
糖尿病とは単一の原因で起こるのではなく、いろいろな原因で共通の症状(痩せ、口渇、多飲多尿など)を呈するに至る、いわゆる症候群・シンドロームです。血糖値が高いのは膵臓から分泌されるインスリンが不足するからであり、絶対的に不足するのをⅠ型、インスリン依存型糖尿病、インスリン補給が無くても生命に異常がないのをⅡ型、インスリン非依存型糖尿病といいます。Ⅰ型糖尿病は遺伝素因が関与し若年者に多い。Ⅱ型は遺伝素因の関与もあるが環境因子が作用して初めて発病すします。Ⅱ型糖尿病は藤原道長の時代から文献上にも見られるが、食生活レベルの向上とともに、すなわち環境の変化で近年増えて社会問題にまでなっています。厳密に言うと今日でも糖尿病の原因は分かっていません。特徴は糖同化能(糖を上手に使う能力)の障害によって、血液中の糖分濃度である血糖が持続的に高く、その結果よけいな糖が小便中に出る糖尿をきたすところにあります。糖同化能の障害(糖・グルコースが有効に利用されないで体外へ排出されてしまう、糖尿)が種々の原因で起こるので症候群といいます。
血糖が高いだけで何の障害もなければ、異常な状態ではあっても病気ではありません。高血糖が長期間つづくと全身に障害、いわゆる副作用が起こるから病気です。主なものは血管障害で大血管の障害によって脳卒中、心筋梗塞などが、小血管の障害によって末梢循環不全、眼底異常、腎臓障害・腎不全などが起こり多くは生命にかかわります。

 
バックナンバー
健康情報広場
健康百話
広報
▲このページの先頭へ