HOME > フクシ情報広場

健康百話

2015-07-02
健康百話(25)なぜ病気はあるか
長廻 紘

 ひとはなぜ病気になるのでしょうか。病気は何故あるのだろうか。もし神様が人を造ったなら、病気にならないように造っても良かったのではないか。進化の結果現在のような人類ができあがったのなら、病気にならないように進化してもよかったのではないか。病気にならないような種になるように人類は進化途上にあるのだろうか。誰もが病気はあるのが当たり前のことと思っているから、なぜ病気があるかなどあまり考えない。だが考える人たちがいたから医学は進歩した。
それはさておき、病気はなぜ起こるかというと、1.外から好ましからぬものたとえばウイルスや細菌がきて、それに対する反応としての病気。2.新しい環境に適応できないための病気。人類は最初期にはアフリカ大陸の草原で狩猟、採集を生業として暮らすよう設計されたと思えるが、時代時代で変わりゆく環境、現代でいえばエアコン、自動車や脂っこい食べものなどに対処できるように身体が造り変えられる時間が足りなかった。身体構造と環境の不一致のため起こる病気たとえば心臓病など。3.いろいろな程度の遺伝子の異常による病気。DNAは不断に変異を遂げていて、それが有益なことも有害なこともある。他にも病気の原因はたくさんあるが、ここは列挙する場所ではない。ただ時代時代で原因は変わってくる、原因が変わるからその表現型である病気も変わるということを言いたい。ごく最近を見ても、生活習慣が変わったから、癌が増えているし癌の種類も違う。胃癌時代から大腸がんや乳癌の時代へ。
医学が進んで、大部分の病気は治る、治らないまでも直ちに致命的というわけではなくなりました。心筋梗塞、脳卒中、多くの癌などを考えて見れば納得のゆくことでしょう。そうであるから寿命は延びました。
もし病気がないとなるとどんな不都合があるのでしょうか。必要があってなる病気すらあるという。病気の効用という言葉もある。仮病のことではありません。仮病とは病気でないのに病気のふりをして嫌なことから逃れる、学校や会社をさぼる、責任を取らない。必要があって成る病気とは、病気になる事で身体の中に溜ったものを吐き出すことができる、そんな病気のことである。野口晴哉さんの『風邪の効用』を繙いてください。
病気がなぜあるかは、医者や薬屋が困らないためというのは悪い冗談ですが、あるものがないと、在ったものが無くなると困るのはどの世界でも同じことです。病気があって人が苦しんだり死んだりするのは社会に活気を与えるから悪いことではない。結核で若い有能な人が惜しげもなく死んだ時代は良い時代だった、という説まであるようです。とにかく世の中は生き生きと動いていなければ、そこに生きる意味はありません。病気が無くなると人はみな草木が枯れるように、あるいは認知症を経て死んでゆくでしょう。認知症は症という字がついているから病気ですが、わたしに言わせれば病気ではなくある状態です。人が弱っていって死ぬ、その少し前の状態です。足が立たないのは病気か状態か。病気がない、あるいは治ると人は老衰か認知症を経て死んでゆく。

 
バックナンバー
健康情報広場
健康百話
広報
▲このページの先頭へ