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健康百話

2015-05-11
健康百話(21)病気と症状
長廻 紘

 病気になるとそれに伴っていろいろな症状が見られるようになります。風邪をひくと咳や發熱などが、食中毒では下痢などがそれぞれ起こってきます。それらはあくまでも結果であって原因ではありません。病気は症状という見せびらかしの陰に隠れてなかなか正体を現さず患者や医者を試すという悪い癖をもっています。症状から本体である病気へ早くたどり着くのが良い医者。もたもたしているのが藪。病気を治す基本は原因を見つけ除去することです。病気が治れば結果に過ぎない症状は自働的になくなります。戦争があれば戦場で人は死にます。戦争が起こるのも終わるのも戦場ではなく政治の場です。病気は政治、症状は戦場です。戦争が最後はポツダム宣言を受けるかうけないかといった政治の場で決まるように、症状は病気を治すことで解決します。
症状は、ある意味では必要があって生じるもの、症状は病気というストレスのはけ口なのです。だから無暗に止めてはならないものどころか、止めると却って病気が悪くなることもあります。症状は原因にたどり着く手掛かりに過ぎず放っておいても構わないのです。本丸にたどり着き本丸を攻略(治癒)すれば症状は自ずと消えてしまいます。風邪が治っても咳が止まらないときは、その咳は風邪と関係ない別の原因によるものでしょう。藪医者がよくやるのは熱が出たら熱さまし、咳があれば咳止め、下痢には止痢剤。下痢は身体に有害なものを急いで出しているのでそれを止めると病気も身体も参ってしまいます。出るものがなくなれば下痢は自然に止まってしまうものなのです。
症状どころか、ある種の病気は生体が自らを維持するために必要があっておこるものであるという考え方もあります。進化医学と呼ばれて、人間の進化と病気を関連づけて考えて行く医学分野です。近年、うつ病が増えているが、それは社会がそのような状態を増やすようになってきた(進化の?)所為であり、社会の方を治すのが先であるという考え方です。
 さて、病気自体よりも症状の方が気になるのが患者というものだから、早く症状を取ってほしいと願います。医者は病気を治すのが先であると患者を説得すべきですが、そうでなく患者とともに慌てて症状に目が行ってしまう藪もいる。症状が取れないと患者が逃げてしまうこともあるので、しぶしぶ薬を使う医者もいるかもしれない。症状を取るために薬を使う。薬を使えば医者も製薬企業も儲かるが医療費が嵩む。今どうなっているか知らないが、昔は抗生物質をやたらに使い注射を打つというのが日本の医者の特徴とされていた。
第二次大戦の英雄としてアメリカの大統領にまで登りつめたアイゼンハワーが退任挨拶で産軍複合体という言葉を使い、軍部と兵器産業が結託して軍備費が天井知らずになると警告を発した。本当に憂えるなら、誰も言うことを聞かなくなる辞める時ではなく在任中に複合体を懲らしめるべきであろうが、そうはいかない。辞める時だから言えた。医薬複合体についても同じようなことが言える。医療者と製薬業界はもちつもたれつで便宜を図りつつともに栄える。この世はなにごとも便宜主義であるが、上手に見えないように遣ってくれ。

 
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