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健康百話

2015-04-27
健康百話(18)がん検診
長廻 紘

 まったくわけのわからない病気であると、50年前の医学生であったわたしは講義で聞かされた。癌は、極端にいえば外科的に切除して運よく取りきれれば治って、取りきれなければ治らない病気でした。それが最近は少しずつ分かってきました。すなわち癌は遺伝子の病気であり、生活習慣の病気でもある、と。それにともなって診断や治療方法も進んできています。
遺伝子は誰にでもあるが生活は人それぞれである。ある人が癌になり別のある人が癌にならないのは生活習慣が違うからです。生活習慣病であるから寿命が延びればそれだけ癌になる人は増える。いまや癌は万人の病気である。脳卒中や心筋梗塞で亡くなる人が減って、多くの人は生き延びて、癌になる。「一切衆生 悉有仏性」。人は誰でも仏様になる(仏性を有っている)といわれています。有ってはいるが磨かなければ実現しない。すなわち努力目標です。それと同じように人間は活きている、空気を吸ったりものを食べたりする、ので人はみな癌になるようにできている。自分を磨かないので仏様になる人は少なく、生活に気を配らないから癌になる人が多い、というのが実状です。
癌になるのは仕様のないことである。でもなりかたというものはあって、死なない程度になるのが良い成りかたです。一次予防は癌にならないように生活に気を付ける。煙草を吸わない、塩分を摂りすぎないなど、なにごとにも過度にならないようにする。これは言うは易しく行うは難しの代表です。だから生きている以上は癌になるのも仕方ない。そこで二次予防の登場です。早めに、治せる段階で見つけることをいいます。胃癌は早期癌の段階、転移しない段階で見つけ内視鏡的に切除すれば完全に治せます。早期の定義は難しくたとえば膵臓癌は早期の段階に(いずれ見つかるとはいえ今の所)診断する方法がなく、進行がんの状態で見つかるので予後はよくありません。赤子の手を捻るという表現があるように、将来極悪人になって周囲に害を及ぼすかもしれない人物も赤ちゃんのうちに芽を摘めば問題はない。癌も赤ちゃんである早期癌のうちに見つけ芽を摘めば問題はないことになります。ついでにいえば三次予防という考え方もあって、癌を治し切らないが進行を止めて平均寿命くらいまで生き続けることをいいます。
問題は早期に見つけることは自分ではできない所にあります。癌は大きくなれば色々な症状を出して騒ぎ立てますが、小さい時には音なしで、痛くも痒くもありません。だからついうかうかと時を過ごし手遅れになるのです。50歳以上を癌年齢といいますのでその年齢に達したら、自分は癌になっているものと思い医療機関へ行って診てもらうことが必要になります。人間は不思議なもので死ぬのは嫌なくせに、死を防ぐ検診をこれまた嫌がるという困った生物です。それは人間が先送りを得意とする生物だからです。検診は来年受ければいいやといった声に惑わされてつい受診しないのです。癌年齢に達した人は誰でも思い当たる事でしょうように、来年というものは永久に来ない時です。

 
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