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健康百話

2015-03-13
健康百話(12)姿勢
長廻 紘

 生物、鉱物あるいは人間が作った物の、全体の形・有様を姿といいます。姿は素形といって歪められていない、生まれながらの体型での素形の構えが姿勢。姿勢の勢はいきおい(意気生い)、すなわち溌剌とした精神力のことです。人間の姿勢は立っても坐っても、地球の中心に向かって垂直な時がもっとも美しく自然、かつ次の動作に移りやすい。美しい姿勢は健康に通じます。正しいあるいは美しいバランスのとれた姿勢は、立った時は頭頂、耳、肩、骨盤、膝、踝が一直線で、それが地球の中心に向かっていて重力を素直に受けます。歩くことは重心の平行移動であるから、地軸に垂直な姿勢で一歩一歩に上下動なく歩く。その姿は美しい。悪い姿勢はその一直線であるものが前後左右どちらかに曲がっていて、身体の中心線がゆがんでいます。 
あの人は立派なことをいっているが、姿勢が悪い、どうも信用できない。あの人は一見元気そうだが、姿勢が悪い、遠からず健康を損なうだろう。このように精神や身体に具合悪い所があると姿勢にでてきます。猫背。曲がった姿勢は精神の弛緩を感じさせます。運動能力のみならず人間性、健康も姿勢に反映します。それらの崩れは姿勢の崩れに現れる。姿勢と呼吸からその人はどれくらいの人間であるか分かるといわれています。駄目な人間はなにをしても姿勢は悪く呼吸は乱れている。姿勢を崩し、呼吸を乱しても問題にされないものは、たとえばTVを見る時のように、下らないものやことが相手と相場は決まっています。よい姿勢であれば、顔が不細工でも肉体が貧弱でも、身体に芯が通っていて全体としては美しい。不細工な顔もやがて精神が表に出て加齢とともに美しくなる。姿勢は崩すことも正すこともできるものです。
若死にのことを夭折といいますが、夭折の夭は人の腰が曲がった形から来ています。昔の人は、姿勢と健康の関係に気づいていたと思えます。なにごともかたち、型・容から入り、基本的な形ができてから応用が始まります。形ができていないといくら頑張っても時間をかけてもものにならない。運動、武道、芸道などは1.姿勢、2.動作の基本形、3.練磨の順に階梯を進めて行きます。この順はまた逆にも動く永久運動でもあります。練磨、基本形、姿勢。練磨を続けるうちに、姿勢がだんだん理想型に近づきます。
どの分野でも一流の人が仕事をしている時の姿は美しく、呼吸も調っています。絵描きが絵を描いているとき、写真家がカメラを構えているとき、哲学者がものを考えているとき、医者が患者を診ているとき、内視鏡医が身体内部を視ているとき。仕事中の姿勢が悪いと、呼吸が調っていないとそれだけでその人は二流の仕事人と判定されてしまいます。デッサンをいい加減にすると何年経ってもよい画家にはなれないといわれています。ピカソの絵を見て失礼にも自分にもできると真似しようとしても、画の基本、デッサンから入った人でないので、上手くいっても似て非なるもの、心のこもっていないお化けになるのが精々です。足がないのに歩けると思っているようなものです。画はデッサン、人は足が基本の姿勢。

 
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