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健康百話

2014-10-22
健康百話(6)癌 つづき(治療)
長廻 紘

 癌の治療とは完全になくすことです。治る・治らないという面から癌は二種類に分けられます。治るとは早期発見が可能、すなわち手術で取りきれるという意味です。たとえば胃癌は内視鏡による早期発見が可能なので治る部類に入ります。膵臓癌は偶然早期に発見されることはあっても普遍的な早期発見は困難なので治らない部類にはいります。その理由は、身体の奥にでき近づきにくい、発育が速くすぐ周囲臓器に浸潤するなどです。   
ただし、この分類が永遠に続くというわけではなく、胃癌も内視鏡以前は治らない癌でした。膵臓癌も遠からず治る癌になるでしょう。病気を治すとは内科的に(薬だけによって)治すのが理想で、手術などで治ってもそれは欠損治癒といって次善の策にすぎません。癌の治療とは完全になくすことです。手術して取り残しがあると、そこからまた増えてきます。再発と言いますが、実は治り切っていなかったわけです。進行癌は進化していて取りきることが難しくなります。取りきれたかどうかは手術中にはよく分からないことがあり、5年経っても再発がなければ結果的に取りきれていたことと見做し、それで5年生存をもって完治としています。
癌が生産し血液中にでてくる癌特有の物質(腫瘍マーカー)がありますが、その検出ができれば血液検査で早期発見が可能になります。癌は細胞学的に正常と異常の中間なので、それが中々難しいのです。わずかながら、たとえば前立腺癌の分泌するPSAという腫瘍マーカーは早期がん発見につながっています。前立腺癌は他の方法でも早期発見可能なのですが、それが適わない膵臓癌でマーカーが見つかれば朗報となります。
最近は抗がん剤による化学療法や放射線療法が進んできて、非手術的に治すことが増えています。抗癌剤が効いて治ったのに、再発して今度は化学療法が奏功しなくなったという話をよく聞きます。それは生き残った癌細胞はAという抗癌剤に抵抗性があったので生き残ったのだから、再発癌はAに負けない、耐性があることになります。そこで違う抗癌剤たとえばBをつかうことになるわけです。細菌による感染症に抗生物質がだんだん効かなくなるのと似たようなことで、癌は一筋縄ではゆかないようです。
癌幹細胞という特殊な癌細胞があって、ふつうの癌細胞よりも増殖力が強く、これが残ることが癌細胞の再増殖につながるといわれています。幹部がしっかりしている組織とくに軍隊は強く、逆の場合は一旦負けるとズルズルとなりやすい、と言われています。幹部とは責任を取る人。ふつうの癌細胞すなわち部下は幹部の言うとおりに動けばよい。癌は身体の中にできてそのままではなく、進化を続けています。分かり易く、非科学的に言えば情報を収集して生き残りに利用していて、それも幹部の仕事です。
病気になったら病人に徹するのが病人道である。専門家(医者)がいるのに、自分でインターネットなどで勉強して専門家を困らせるのは病人道に反する、と医者であるわたしは思うのです。十中八九、良くない結果が待っています。信用できなければ医者を替えるべきです。

 
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