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健康百話

2013-07-18
長廻雑記帖(62)漢字とアルファベット
長廻 紘
 歴史をひもといて驚くことに、どんな国でも一旦衰弱したら二度と浮かび上がっていない。エジプト、メソポタミア、ペルシャ、モンゴル、マホメット帝国、ローマ、大英帝国など。ロシアもあんなに大きな国だがソ連が無理を重ねて崩壊した。歴史に学べば二度と立ち上がることはないだろう。そこへ新たにヨーロッパ・EUが加わろうとしている。衰弱するのは信じられないような不手際や不運の連鎖による。理由のいかんを問わず衰弱してしまえばお仕舞、剛ければ強かったほど駄目。剛構造の帝国は一旦折れると脆い。芯まで折れてしまうからである。

そこへゆくと中国は不思議である。漢、唐、元、清といった世界規模の帝国が興隆消滅を繰り返し、今また眠れる獅子から目を覚まそうとしている。中国は、国家ではなく「国家を装った文明」といわれるゆえんである。ほかの国々とは根本的に性格が異なると思わざるを得ない。中国史は勃興と衰退の繰り返しであるが、いつでも衰亡してお仕舞とはならない。漢民族の何でも受け入れ消化し自分のものにしてしまう柔構造のなせる業であろう。柔構造は折れても外見だけ、柳のように芯までは折れない。その芯がよほど強いのだろう。

中国に関して不思議なのは漢字を創ったり孔子を生んだり、唐代には世界の中心であったのに、宋を最後に文明の光芒は絶えた。その後、人類文化にさしたる貢献をしていない。国土が広く人口が多いからそれなりのことはしてはいるが、ただ生き残っただけのような気がする。中国を征服した主として北方の民族は武人としては精悍無比であったが文化的には漢民族より遥かに劣った。そのためであろうか、中国は征服を受けるたびに政治的には強大になったが、文化の程度が下がったような気がしないでもない。世界に民族は多いが中国人ほど政治的な民族はない。日本とは、恐ろしい人たちの国の隣にいるものだと空恐ろしくなる。

表音文字のヨーロッパでは民族が違うと言語も別々である。大ヨーロッパ(中国より狭い)に呑まれきらないで独立しているばかりに、ギリシャは老残をさらしている。かりにヨーロッパを中国に、ギリシャを中原(中華文化の発祥地)とし、共に漢字を使っているとすればギリシャはとっくに大ヨーロッパの一部に完全に融解してしまっているであろう。アルファベットの場合には、発音の違いによって促され、まったく別の言語として生きて行ける。

中国では地域ごとに発音が違っても、漢字が同じ中国語として全体をまとめている。表意文字の威力である。漢字使用地区では方言の違いは、漢字が同じことによって言語の独立にはつながらない。中国文化の発祥地域(殷?)は衰えてしまったが、漢字のお蔭で、ギリシャのようには、そのことに気づかれない。孔子など諸子百家が活躍し漢字を生んだ地域はいまの中国のごく一部、ヨーロッパにおけるギリシャ程度の面積であろう。現今のギリシャ人のDNAを調べてどの程度プラトンの、現今の中国人のDNAを調べてどの程度孔子のDNAと似ているか調べたら面白い結果が出るかもしれない。マンモスの遺伝子がわかるのだから、孔子時代の人の遺伝子も分かるであろう。

ギリシャはなによりも料理が不味い。
 
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